専門分野
腹腔鏡手術について
産婦人科腹腔鏡下手術
腹腔鏡下手術とは、お腹に数カ所の小さな穴をあけ、そこからお腹の中に腹腔鏡(お腹の中をみるための内視鏡)と鉗子(お腹の中で操作するための手術器具)を入れ、モニターをみながら行う手術です。開腹手術とくらべて美容的で痛みが少なく、術後の回復が早いため、早期の退院と社会復帰が可能です。また、腹腔鏡が持つ独特の深部拡大能は、骨盤の手術に向いており、大きな威力を発揮します。当院は腹腔鏡下手術による手術を良性腫瘍のみならず、悪性腫瘍にまで適応を広げております。当院の腹腔下鏡手術の特徴を示しますと以下のようになります。
当院の特徴
- 良性疾患から悪性腫瘍までを適応とし、県内有数の症例数
- 日本産科婦人科内視鏡技術認定医(腹腔鏡)が7名在籍(2023.3時点)
- 腹腔鏡下子宮体癌手術・腹腔鏡下広汎子宮全摘術の施行施設です。
- 子宮体癌に対するロボット支援下悪性腫瘍手術の認定施設です。
術後入院日数 | 職場復帰 | |
---|---|---|
開腹手術 | 8~10日 | およそ1か月 |
腹腔鏡手術 | 3~5日 | 2週間から可能 |
(職種、手術内容により違いはあります。)
適応が広がり増加している腹腔鏡下手術
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症、卵巣腫瘍などの良性疾患のほとんどが腹腔鏡下手術の適応となります。良性疾患であっても、お腹の中の状態によっては腹腔鏡下手術ができないこともあるので、外来での診察や検査により腹腔鏡下手術が可能かどうかを検討します。悪性疾患では、保険診療として腹腔鏡下手術を行うことができるのは、現在、初期の子宮体癌に限られています(詳細は悪性疾患についての子宮体癌の項目をご覧ください)。しかしながら、早期子宮頸がんに対しては、当科において先進医療「腹腔鏡下広汎子宮全摘術」を施行しております。この先進医療は、日本でもごく一部の施設のみが施行可能であり、当科はその施行施設として認定されております。また、当科では産婦人科腹腔鏡下手術の専門資格としての日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医(腹腔鏡)が7名在籍しております。安全で確実な手術を施行するために、科長および技術認定医が術前に検討会に参加し手術の適応や術式を検討しております。手術数と主な術式の年次推移は以下となっております。適応は拡大し手術症例は確実に増加しており、腹腔鏡下手術がより身近なものとなっております(※2020年~2022年近隣施設に一部の良性腹腔鏡症例を紹介)。
腹腔鏡下手術の合併症について
腹腔鏡下手術は、婦人科良性疾患に対して広く行われるようになり、安全性も確立しつつありますが、カメラで見える範囲が限られていること、止血や縫合の操作が開腹手術に比べて難しく時間がかかることから、手術合併症の発生率は開腹手術と比較するとやや多いといわれています。腹腔鏡下手術を行うにあたっては、このような合併症が生じないよう細心の注意をはらって行っていますが、一定の確率で開腹手術への移行や、再手術などの可能性があることをご理解ください。
日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医制度
腹腔鏡下手術は、同じ手術を開腹で行うときとくらべて難易度が高くなり専門性が強まります。このため、日本産科婦人科内視鏡学会が、腹腔鏡下手術に関する専門の技術と知識を持ち、安全に腹腔鏡下手術を執刀及び指導することができる医師を“技術認定医”として認定しています。当科では、2023年4月時点で7名の腹腔鏡下手術の技術認定医が在籍しています。また、新潟大学病院は、大学病院のみならず新潟県内での技術認定医の育成に励んでおり、県内の腹腔鏡下手術の指導的役割を担っています。