診療概要（婦人科腫瘍について）

婦人科腫瘍は、子宮筋腫・子宮内膜症・卵巣腫瘍などの良性疾患から、子宮頸がん・子宮体がん・卵巣／卵管／腹膜がんなどの悪性疾患まで、多岐にわたります。そのため、婦人科腫瘍の患者さんが外来を受診された場合、当科では婦人科腫瘍専門医と日本産科婦人科学会専門医が協働して診療を行っています。

良性疾患では、患者さん各々の症状とライフスタイルに合わせた治療方法を提示し、納得性の高い治療を選択できるように心がけています。子宮筋腫や子宮腺筋症、卵巣腫瘍などに対する手術は、患者さんの負担が少ない内視鏡手術を基本として、病状に応じて患者さんのQOLを第一に考えた治療を相談させていただいております。

悪性疾患に対する治療法として、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法などがあります。これらの治療を組み合わせることで、患者さんごとに最適な治療を提供し、根治率の向上とQOLの改善を目指しています。当科では、日本産科婦人科学会専門医に加え、婦人科腫瘍専門医、がん治療認定医、細胞診専門医、産科婦人科内視鏡技術認定医（腹腔鏡）、臨床遺伝専門医等を有するエキスパートが多数在籍しており、多角的な視点で診療を行っております。

さらに、麻酔科、放射線科、外科、病理部など関連各科と連携することで、横断的な集学的がん治療を実践しています。例えば、週一回の術前検討会では、放射線診断科医師に画像診断を詳細に解説いただき、術前診断の精度を高めています。また、治療方針が各科にまたがる症例では、腫瘍内科を中心としたキャンサーボードに症例提示を行い、各科と連携して多角的な視点から最適な治療法を検討しています。特に外科との連携により、「残存腫瘍ゼロ」を目標にした積極的手術が行える環境を整えており、根治性を高めています。

当院は、がんゲノム医療拠点病院に指定されており、がん遺伝子パネル検査によって遺伝子情報を利用した新しい治療法をご提案しております。また当科は、特定非営利活動法人婦人科悪性腫瘍研究機構（JGOG: Japanese Gynecologic Oncology Group）、および日本臨床腫瘍研究グループ（JCOG: Japan Clinical Oncology Group）の登録施設であり、多数の臨床試験に参加していただくことが可能です。

最後に、当科は遺伝性乳がん卵巣がんの研究と診療で全国屈指の業績があります。ご家族に乳がんや卵巣がんになられた方が複数いらっしゃる方、ご自身が乳がんや卵巣がんになり、遺伝の影響を心配されている方に対して、「遺伝子診療部門」と連携して遺伝カウンセリングを行い、定期健診や遺伝学的検査を含めた情報提供を行っています。